
第4回 会社清算と清算人
弊社ADM PROGRESSでは、タイ現地法人の会社清算に関する業務のコンサルティングを既に何件か経験しております。今月号では、これに関連して「会社清算と清算人」をテーマにしたいと思います。
タイのLAWYERは清算人になることを嫌がるみたいです
第1回の「ADM徒然草」にてご説明しましたとおり、「清算」とは、解散後の会社を終わらせる過程のことです。具体的には、タックスクリアランスなどの残務処理や財産処分、清算完了登記等の法務手続、等の業務になります。
清算の過程において、会社は「清算人(LIQUIDATOR)」を設定する必要があります。解散後にこの清算人がいないと、上記のような業務を実際に行うにも会社としての連絡先がなくなってしまうからです。タイ国民商法典第1250条によりますと、「清算人の義務は、会社の業務を整理すること、その債務を支払うこと、およびその資産を分配することである」とされています。
任意清算の場合、清算人は、株主総会の決議によって選任されます(タイ国民商法典第1256条)。取締役あるいは代わりに他の清算人を任命すべしとされています。
日系企業がタイにおける会社清算業務を計画する場合、まず、清算業務を請け負ったタイの法律事務所等に依頼し、そこのタイ人LAWYERに清算人を依頼しようとすることが多いようです。しかし、タイ人のLAWYERは、(特に外国の会社の)清算人になることをかなり嫌がる傾向が強いように思います。
任意清算において清算人は、その過程において債権者からの求めに応じて債務が支払えなくなった場合、破産の手続に移行させることとなっています。ある知り合いのタイ人LAWYERは、もしこのような事態に陥ってしまった場合に自分がその清算人を務めていたら、「私のLAWYERとしての歴史に傷がついてしまうので嫌だ」と言っていました。
このように考えているタイ人LAWYERは少なくないようです。日系企業が正式に契約を結んで清算人になることを依頼する際に、かなり高額のFEEを要求する傾向があるのは、このような事情があるからかとも思われます。
ではタイ人LAWYERに依頼することをあきらめ、日本人が自ら清算人になろうとする場合は、どのような要件を満たす必要があるでしょうか。
日本人が清算人となる場合
大きく以下のような2つのパターンが考えられます。
(1) 清算完了まで、従来の日本人駐在員等を帰任(または解雇)させないで残しておく
(2) グループの他のタイ子会社がある場合、そこの取締役(日本人)に清算人になってもらう
このいずれの場合も、清算人はタイに住所をもち、商務省や歳入局から常に連絡の取れる立場でなくてはなりません。したがいまして、日本に帰任してしまう人の任命は、だめです。
次に、清算人は実際にタイでサイン業務等を行う(=労働を行う)わけですから、外国人職業規制法(労働許可)への考慮を忘れてはなりません。(1)の場合は、もともとの当該会社でその労働許可を更新というかたちになるでしょう。(2)の場合に注意しなくてはならないのは、清算に入る前に正式にその清算会社の労働許可を取得しておかなくてはならないということです。
しかし現実問題としまして、(1)も(2)も難しいといったケースは多いのではないかと思います。
(1)につきましては、日本本社が比較的長期間(清算完了まで)帰任させないことを許可するかどうか、あるいは経費的な問題(日本人駐在員コストは重要性が高いので)もあるかもしれません。
(2)につきましては、そのようなグループ会社が存在するかどうかという問題、また、あったとしても当事者がこれを了承するかどうかという問題も生じることがありようです(日本人でもやはり今まであまり関与していなかった会社の清算人にいきなりなってくれと言われても、抵抗が生じるのは仕方ないかもしれません)。
どうしても会社で適任者がみつからない場合
弊社(ADM)では、条件が合致します場合は、このようなケースのご相談にも対応させていただいております。ご用命の際には、まずはお気軽にお問合せください。
*** つれづれなるままに ひぐらし キーボードにむかひて ***
こんなタイトルのタイの新聞をご覧になったことがありますか?
この新聞は、タイ国民商法典における「地方紙への広告義務」のためにあるといっても過言ではないような新聞で、通常は滅多にお目にかからないものですね。
この地方紙への広告義務があるケースには、以下のようなものがあります。
・ 民商法典第1253条に基づき、会社の解散を公(おおやけ)にする場合(連続2回)。
・ 民商法典第1226条に基づき、会社の減資の詳細を公にする場合(最低7回)。
私は仕事がら結構この新聞を目にする機会もあるのですが、紙面全体の90%以上は上記のような広告記事です。残りの僅かなニュース記事もその大半は王室関連とかのようでして、いまのような情勢のなかでも「一面にイラク戦争の記事が載っているというようなことがない」というのにはちょっと驚かされます。そのような意味でも、非常に個性的な新聞であるといえるかもしれません。