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[2002年10月号] 経理人材の能力評価−人材要件の明確化

今月号では、能力評価の前提となる人材要件の明確化について取り上げます。この人材要件が曖昧なままでは、いくら厳しい選考を行っても適切な採用決定ができないことはいうまでもありません。

他の職種と比較して、経理はこの人材要件が明確化しやすい職種といえます。職務内容の多くの部分が、会社を問わず共通する月次・年次のルーティン作業であるためです。

まずは、該当する経理人材の責務内容を書き出すのが第1歩です。担当する帳簿、財務諸表、税務申告書等の経理上のアウトプットを正確に作成できうる専門的知識・スキルを有しているかが必須要件となります。

それに加え、以下の項目につき必須要件、その程度、必須ではないがあると望ましい要件、あるいはそれらの優先順位を設定してやります。

  1. 給与水準
  2. 学歴
  3. 職歴
  4. 一般事務能力−注意力、計算力、運動能力 (視覚・手先) 等   
  5. コミュニケーションスキル(自国語、外国語)、 プレゼンテーションスキル   
  6. 主性、責任性、協調性、ポジティブ思考、 バランス感覚等の基本的態度  
  7. 視野の広さ、課題形成力、課題推進力、リーダーシップ  
  8. 対人姿勢、印象、性格 
  9. 働く目的、働くスタイル等の職業観、職務興味・志向
  10. 会社志望動機、動機づけの程度   
  11. 勤務地、勤務時間等の個人的事情

(2001年12月号 経理人材の能力評価−評価項目と手法(まとめ)より)

また、その際に、現職の人材データを把握してあることが必要です。その第一義的な意味は、経営的な観点から、人的資質の面で不足している人材を補充することにあります。例えば、現在の経営課題として大幅な変革が必要であるにもかかわらず、現職者が慎重・堅実な集団である場合、在職者の雰囲気に流されないアグレッシブな人材が必要といった具合です。

ただし、うまくいっていることよりも、不足していることに目を奪われやすいという傾向があることには注意が必要です。上記の例でいえば、変革型の人材を重視し過ぎることにより慎重・堅実であることが必要以上に軽視されてしまう事態を意味します。現職者あるいは前任者の不足点が強調されすぎないようにすることを念頭におくべきです。

一方、組織として働くためには、ある程度の同質性が必要です。情報を交換したり、シナジーを発揮したりするためには知的能力がある程度同じ水準であるこが望ましいといえますし、性格や志向、価値意識などの側面においても同質であることが職場の風土に適応するための条件だからです。

なお、人材要件を明らかにする過程として、以下の2つのアプローチがあります。

(1) アンケートによる人材要件の決定

アンケートにより関係者の意見を集約し、それに基づいて関係者が討論して要件を割り出す方法です。アンケートは関係者の意見を整理するための道具ともいえます。

(2) 実証データによる人材要件の分析

在職者の職務遂行能力評価とアセスメントツールとの関連性を統計的に解析することによって要件を明らかにする方法です。客観的なデータが得られる半面、ある程度のデータ数が必要であること、技術や時間・労力を要する等の制約があります。

参考 :「人事評価制度のつくり方・すすめ方」 松田憲二  
「人事アセスメント入門」 二村英幸 
「人事アセスメントハンドブック」  大沢武志 他 編